動画を作成する場合に気を付けなければならないポイントがいくつかありますが、その1つに「フレームレート」があります。
フレームレートという言葉が意味すること自体は特に難しいものではなく、「1秒間に何コマある動画か」という事になります。
単位はfps(frames per second)と記述します。読み方はエフピーエスです。
フレームレートは、動画ファイルを作る際、編集後の書き出し時やエンコード時に任意に設定することができます。
ただこのタイミングで不適切な設定を行ってしまうと、動画に様々な不具合や問題が発生してしまいます。
以下で、フレームレートを指定する際のポイントと、不適切な設定を行った場合どうなってしまうのか、という点をまとめます。
フレームレートの大小で何が変わるのか
先ほども簡単に書きましたが、フレームレートは1秒間に何コマの動画か、ということを表す数値です。
パラパラマンガと同じ原理で動画はできており、少しずつ異なる写真を早く連続で切り替えることで動いているように見えます。
ですので、
- 1秒間のコマ数が多ければより滑らかに
- コマ数が少なければ、かくついて
みえることになります。
一般的に私たちが目にしているメディアだと、
- 地上デジタル放送 29.97fps
- 映画 24fps
となっています。
インターネットの動画配信の場合は上記にとらわれずにフレームレートを指定することができます。
よって、例えばスポーツなどの激しい動きがある動画をより滑らかに見せたい場合などにフレームレートが高いと効果的です。
高いフレームレートにした場合の問題点
滑らかに見てもらうことができるならば、フレームレートは高い方が良いと言えます。
ただ、フレームレートを高くした場合に起こる問題があり、高ければ高いほどいいという事ではありません。
具体的には、フレームレートを高くすると、画質が劣化するか、または動画の容量が増えます。
どうしてこのようなことが起こるのか、順を追って考えていきます。
例えば、30fpsの動画と60fpsの動画があったとします。
動画の長さはそれぞれ10秒で、20MBの容量としましょう。
この場合、どちらの動画も1秒当たりの容量は2MBなるのはお分かりいただけるかと思います。
ということは、1コマあたりに使える容量は、
30fpsの場合 2MB÷30=約70kb
60fpsの場合 2MB÷60=約35kb
となりますから、1コマあたり少ない容量で表示をしなければならない60fpsの方が画質が悪くなってしまいます。
これを回避し、同じ画質するためには、60fpsの動画の容量を倍にする必要があります。
10秒程度の短い動画であれば、20MBが40MBになるだけで済みますが、30分の動画などであれば500MB程度になってきますので、これの倍、1GBという大容量ファイルを送信しなければならないという事になってきます。
そうすると、見ている方の回線状況によっては、動画データの転送が間に合わずに止まってしまったり、スマホ回線のパケットを無駄に消費させてしまったりという事が起こります。
ここまでになると、1秒間に200回のコマ切り替えを行わなければならなくなりますから、低スペックなPCや、スマートフォンでは再生すらできない状態になる場合があります。
一般的なディスプレイやスマホで表示可能なコマ数
上記までに書いたことで、フレームレートを上げ過ぎてもあまりいいことはないという事がわかっていただけたかと思います。
ただ、最近では高いフレームレートで撮影ができるカメラが市販されるなどしてきており、高画質や滑らかな動画、という切り口も、ユーザーに対してのアピールポイントになりえますので、フレームレートをテレビ程度に設定するのが必ず正しいということでもありません。
少し別の視点になりますが、私たちが動画を見る際に、必ずPCのディスプレイやスマートフォンに映った動画を見ることになります。
ディスプレイやスマートフォンの画面には、1秒間に何コマまで表示ができるかという性能の上限があります。
一般的には秒間60コマが上限となっています。
ですので60fps以上の動画を作っても、表示される際に結局秒間60コマになってしまいます。
ゲーム用をうたっている高価なディスプレイや、シャープ製の一部スマートフォンでは、120コマまでの表示が可能なものがあります。
ですがかなりレアケースです。
適切なフレームレート
では、おさらいです。
動画を制作する場合には、どの程度のfpsにするのが最適でしょうか。
一般的な動画
- テレビと同じ30fpsで十分です。
- あまり動きがない動画であれば、20fpsなどまで下げても良いでしょう。画質を上げたり、動画の容量を減らすことができます。
動きを滑らかに見せたい場合
- 視聴してもらうモニターで表示できるコマ数の上限があるため、60fpsまでとしましょう。
- フレームレートを増やす場合は画質と動画容量のバランスに気を付けましょう。
適切なフレームレート設定をすることで、視聴者さんへのデータ転送量にもやさしく、再生できないなどのトラブルも未然に防ぐことができます。
動画を作成する際には、適切なフレームレートに設定することを意識しましょう。
投稿者プロフィール

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株式会社アジャスト 社長
兼 ソーシャルキャスト事業部長
武蔵野美術大学造形学部卒
Webサイトの企画制作、解析業務に長年携わってきたが、インターネット動画配信の魅力に取りつかれ、2011年よりソーシャルキャスト事業を立ち上げる。
当ブログでは動画関連の知識だけでなく、WebマーケティングやPR、解析、決済など、培われたノウハウを記事にまとめ、クライアントに役立つ情報として社内外に発信している。
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